歴史を動かす力(続)

TwitNoNukes大阪主催の関電前行動は隔週.今日はなし.いつも正門前でやっている人たちの行動はあるのだが,夕方までの仕事でミナミの方にいたこともあり,大阪上本町社会福祉センターであった「あきらめていいの? 脱原発の未来」という集会の方に参加してきた.主催したのは「避難者と未来をつくる会」.協賛したのは「政治を市民の手に!プロジェクト」の皆さん.司会は「反戦な家づくり」の山岸飛鳥さん.集会の趣旨はこれらのブログにある.報告されたのは,福島から今は京都に避難されている「避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク みんなの手」の西山佑子さん,「吹夢キャンプ」の高椅とも子さん,前衆議院議員社民党服部良一さん,同じく参議院から鞍替えして立候補された生活の党の中村てつじさん,この4人であった.それぞれの方の考え方などは,リンク先を見てほしい.
福島のようなことが関西で起こっては困るから大飯原発反対とか,ノーモアフクシマとか,それぞれの人の善意はそのとおりであっても,ここには,福島をどこかで他人ごとに見る考えが,ひそんでいる.福島の核惨事は何も終わっていない.何が福島をくりかえすな,だ.まさに今その渦中なのだ.福島から関西に避難した人,やむを得ずに福島に残っている人.いや,ここで福島とひとくくりにすることも正しくない.会津地方と福島市福島市でも海岸の方と市街の方,おかれた条件によって主張もそれぞれ違う.大阪ではそんなことも見えていない.そして避難してきた人の苦しみ.残った人の苦しみ.見えない将来.関西の我々がどこまでそれをわがこととし得ているのか.そして一人一人の生き方を上から押しつぶす国家のさまざまの政策.それに対して「経済より命」と西山さんが言われていたが,これは我が意を得たり,であった.当事者からの具体的な報告に,学ぶところ多かった.
服部さんは先だってのシンポジウムにも来ていただいたが,中村てつじさんは,はじめて話を聞いた.若いけれども面白かった.主催者は「行動する市民x再起する政治家」というテーマを掲げていたのだが,こちらの聞きとったこととしていえば,中村さんは,市民が政治を作るのだ,政治家は市民の中から出すものだ,「専業の政治家」対「市民」ではないのではないか,と自分の考えを述べておられた.未来の党から立候補して落選した議員は100人を超える.その中で再挑戦を試みる人は30人にならないそうだ.「自分はカラ元気であちこちで話している.そうしてゆけば落選議員を激励することにもなるのではないか」とのこと.世襲政治屋が当然のように政治を行う中で,政治家のあり方から問題提起する中村さんの意見は大いに参考になった.彼が指摘したように,ここに来ているのは落選した元議員ばかりだ,こういう場にこそ現職の議員が出てきて議論しなければならない.しかしそんなことはまずない.日本の民主主義はまだその程度だ.その通りである.
それぞれの立場から問題が出され,参加者それぞれが考えるというところで時間切れ.ではどうしてゆくのかまでは議論はすすまなかった.避難者の苦しみに応えるところまでは議論はすすまなかった.しかし,このような集会が行われ,とにかくこういう議論がなされてゆくこと,これが確かに時代を動かす.一方,人民新聞編集部の〈統治手法としての「議会制民主主義」終焉〉という見解もまたその通りである.確かに,経産省前テント広場,金曜集会のような直接民主主義,地域や職場の評議会,アルゼンチンのアサンブレアなどの議会を通さない直接行動が,結局は時代を動かす.ただ,そうであるとしても,その力は議員や既成の政治家を動かすところまでまとまらねば,何も変わらない.運動が,議員を生みだしそして使う.誰が,どのような回路でそれをするのか.このあたりの議論もまだない.それをめざす試行錯誤をふくめて,それぞれに何が出来るのか.本当にいろいろと考えさせられる集会であった.考えさせられる集会,これが力の源だ.詳しい報告は主催者のサイトでいずれなされるとのこと.企画し準備された皆さん,ご苦労さんでした.感謝.