TPPは現代の植民地主義

今日,安部政権は基本的にTPP参加を決めた.「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物」について例外とするよう求めるとしているが,こんなものはごまかし,目くらましにすぎない.この5項目がTPPを通したアメリカの真のねらいではない.前からわかっていることだが,アメリカのねらいは,1) 郵政にある1300兆円の国民の金融資産を奪うこと,2) 保険制度を崩し混合医療を解禁しアメリカ資本が日本の医療分野に入り込むこと,3) ISDS条項を日本にも認めさせ多国籍資本が日本国以上の力をもつようにすること.これはつまり新植民地主義そのものではないか.これらを,日本に受け入れさせようとすることであり,安部政権が受け入れるということである.Cagaelさんがロリ・ワラックさんが訴える「日本のTPP参加は主権の放棄」で報告されているように,アメリカの市民団体からの警告もある.前の菅首相がTPPに関して平成の開国をいったとき,「平成の開国? 平成の売国!」を書いたが,誰が国を売るのか.国家と国民の生活を売ってでもみずから生きのびようとする原子力村=旧体制である.
アメリカの財政危機はもはや後戻りはできない.リーマンショック以降,ドルを刷り続けた.早晩,より大きい経済の崩壊があるだろう.日本やアメリカの株高などは,一抹の泡,流れに浮かぶ泡沫(うたかた)でしかない.そしてアメリカ自身がこの苦境からの活路を求めて,海外展開している軍を整理し,多極化に応じた体制を生みだし,その中で,何とか多国籍資本が金儲けだけは続けられるようにしようとしている.アメリカ軍を沖縄に置く必要はアメリカにはない.その中で,日本の旧体制側が,米軍の費用を負担して,アメリカ軍をつなぎ止めようとしているのが事実である.そのためにも,TPPで日本の金融資産を差し出そうとしている.日本の旧体制の基本戦力は,対米従属である.それによって旧体制=原子力村は存続してきた.既得権しがみつく日本の官僚とその安部政権が,世界史の流れに逆行して,国と国民を売り払おうとしている.
そして今日,東京高裁の飯田喜信裁判長は、小沢氏元秘書3名の控訴を棄却し,一審の登石裁判長の「推認判決」を支持した.つまり,これは日本の司法一体の政治判決であり,今回の判決は安部政権誕生によって居直った旧体制によるショックドクトリンの一環である.このブログで,世の動きについても発言するようになったのは「小沢民主党代表の秘書逮捕問題」からだ.この問題については細かに見てきた.そして日本の司法が,いかに旧体制を擁護するためにのみ機能しているかを確認してきた.まだ,まさか,と思う人も多いだろうが,司法の中立や公平な裁判など,この日本にはまったくない.今回の判決は,先日の小沢氏発言「TPPでのアメリカの狙いは農業ではなく保険、医療、知的所有権というデカいものを狙っている!」への報復でさえある.まったくこの裁判は,植民地日本において,アメリカの支配権にたてつくものへの,見せしめの裁判でしかない.そのアメリカを操るものは多国籍資本,地球大の資本主義そのものである.
現在の安部政権は,かつての南ベトナムのグエン・バン・チューやグエン・カオ・キのような,まったくの傀儡の売国政権である.安部政権は現代植民地主義の僕(しもべ)である.そしてそのアメリカ自体が,もはや帝国として凋落の過程に入っているのだ! ちなみに南ベトナムの2人は南ベトナムの旧体制が崩壊する直前,アメリカに亡命している.こうして問題そのものは煮詰まってきているように思われる.旧体制の一部であるマスコミをもちいた世論誘導がどこまで力をもつのか.いつそのウソが大多数の人間に知られるようになるのか.事実において煮詰まれば,かならず現状を突破する運動が現れる.あるいは,アメリカのような高額医療が現実化するなどして,それでようやくより広範な国民がTPPの意味をつかみ,売国自民党を倒して,新しい政権のもとTPPからの離脱を宣言する,という道をたどるかも知れない.それまで,もうすこし時間がいるかも知れないが,いかに紆余曲折をたどっても,経済の時代から人間の時代へ,は必然である.長く続く転換期の,今ははじまりの段階である.
追伸(3.15):今年はじめて出会ったカワセミと,開きはじめたハクモクレン.国家としてのアメリカと多国籍資本との関係はさらに考える必要あり.現代の植民地主義は,国家をも操る多国籍資本による国家をとおした植民.アメリカのこのような現状を見ると,アメリカの99%の人々もまた多国籍資本による植民地的支配と収奪のもとにある.これはTPP後の日本の有り様でもある.