地裁判決と金曜行動

昨夜は定例の関電前金曜行動.7時はまだ明るい.2〜30人ではじまった集会も,8時頃には140人(新聞報道)を越え,いつもより少し多い人が集まっていた.福井地裁で大飯原発3,4号機差し止め判決が出た直後でもあり,報道のカメラが多かった.大飯原発差し止めの裁判の支援活動をしていた人にも出会う.
この判決は立派だし,人格権や根を下ろして生きることの意義を経済活動や原発の上位に置いたことなど,ほんとうに大きな意味がある.しかしまた,これは原発廃炉までの長い道のりの一里塚でしかないこともはっきりしている.これを一つのテコにしながら,これからもがんばりましょうと話しあった.
福井地裁の差し止め判決,そして,厚木基地自衛隊機夜間飛行差し止め判決と,二つ,現在の政府の施策を否定する判決が続いた.それぞれの裁判にかかわった裁判官の過半数が良心を失わなかったということが前提ではあるが,その上でこのような判決が続いたのは,それだけ最高裁事務総局の地裁裁判官への締め付けが緩んでいるというである.
この3月に『絶望の裁判所』が出て,(「『絶望の裁判所』を読む」に書いた)それにあわせて竹崎博允最高裁長官が定年の前に辞任.彼には権力があったから裁判官のだれも正面からは批判しなかったが,しかしあのような官僚人間,多くの裁判官から嫌われていたのはまちがいない.それが任期途中で辞任.しかも『絶望の裁判所』の中で,今の裁判官は上の人間の意向ばかり気にするヒラメ人間,などといわれれば,気骨のある裁判官なら,上からの縛りを振り切ってもまっとうな裁判をやろうとするだろう.ここに,二つの地裁判決の背景があるように思われる.
この『絶望の裁判所』,これは今の司法界の内部告発と言うべき書であるが,これが出た背景は何か.2010年の頃,地震の前年,あの当時,小沢一郎氏へのえん罪裁判が続いていた.それを取り仕切っていたのが,検察審査会を差配していた最高裁事務総局とそのトップの竹崎長官.この司法の在り方に対する批判や抗議行動がおこなわれていた.この小沢裁判では,彼の政治的立場を支持するかしないかは別にして,あのように政治家が葬られようとしていることはおかしいという多くの市民の行動があった.私もこの頃,市民デモに出るようになった.そして,地震という大激動.これらが背景にあって,この司法界からの内部告発の書が出た.
そしてそれが,二つの地裁判決を押し出したのだ.すべては同じ時代の同じ歴史舞台で連動している.われわれの日々の運動なしに二つの判決文はない.福井地裁の判決文は,これからの運動の中で,われわれの主張の根拠となることを明確に書ききってくれている.今の司法のなかからこんな判決文が出てきたことに感銘する.同時に,総ては力関係であることを忘れてはならない.
さらにまた,いわゆる原子力村の内部も相当ガタが来ている.そういえば,東京電力福島第1原発事故で,現場を指揮した吉田昌郎元所長が事故後,政府の事故調査・検証委員会(政府事故調)の聴取で語った内容が朝日新聞に掲載された.政府は非公開方針であり,この秋に秘密保護法が施行されればこれは刑事事件になる.その前に公にする.オバマ政権は,安倍政権の方向はアメリカの体制にとって大変マズイものであることを知っている.朝日新聞がこれを出したということは,アメリカ政府の意向を受けた自民党内の反改憲派から出た可能性が高い.ある意味ではオバマ訪日のその結論が吉田調書の暴露である.
そのアメリカであるが,ワシントンDCでは,多くの人の反政府行動がはじまった.これは昨日一緒になったいつもの彼が教えてくれたのだが,日本のマスコミはほとんど報道していない.ブログでは「遂にはじまったアメリカの春作戦」や,ワシントンD.Cは、3月頃からずっと内乱状態!そして、アメリカの春がおこった。で紹介されている.またこれらのブログ記事のそのソースはここにある.さらに,This is the OFFICIAL Operation American Spring が公式ページ.退役軍人が始めた運動のようで,この動きの背後に,オバマ政府を倒そうとするネオコンや金融資本があることはまちがいない.茶会運動の焼きなおしかも知れない.しかし参加している人々は,絶望的なまでに広がったアメリ格差社会のなかで,この政治ではだめだと,民主党共和党も関係ないというところから立ちあがっている.これが99%の占拠運動と結びついて,帝国アメリカを下から崩す新しい大きな動きになるのか,あるいは帝国再建をめざす新たなファシズムとなるのか,慎重に見守りたい.
やはり,多くの人々が立ちあがり,行動しはじめたことが歴史を動かしている.それはまちがいない.