金曜行動の深化

今日は定例の金曜関電前行動の日.こちらは4時〜6時と神戸東灘で授業があり,質問などに答えていると6時半.それから電車に乗って大阪駅に着いたのは7時.大粒の粗い雨が降っている.しかし向こうは青空も見えて通り雨の様子.今日の行動はあるのだろうかと思いつつ,地下鉄に乗り,肥後橋で降りる.外から階段を降りてくる人の傘は濡れていない.雨は止んだのかと歩道に出ると六月の雨あがりの気持ちのいい海風が吹いていた.7時には現地に来ていたいつもの彼に聞くと,7時の時点でいったん中止を決めたのだが,その直後に雨が上がり,やはりやろうということになったのだそうだ.天の采配.
ということでこちらは15分ほど遅れて参加.8時まで声を合わせてきた.参加者には,自分たちの行動もあの福井地裁の判決を引き出した力の一部になっているという,何か確信のようなもを感じとることができる.また,主催者もこれまでは原発以外の話しは避けていこうとするところがあったのだが,今日の主催者は,安倍内閣の進めた消費税も,集団自衛権問題も,原発問題と一体であると話す.原発を再稼働すると言うことは人間性を否定することで,これが安倍内閣の方向だということを言っていた.これを聞いていると,ずいぶんこの金曜行動も深まってきたことを実感する.
追伸:たんぽぽ社の配信メールに次の記事があった.転送歓迎とあるので改行を一部追い込んで紹介する.横の広がりも深まってる.

「金曜デモ」の全国への広がりは30都道府県36グループ 「川内原発再稼働反対鹿児島行動」(6月13日)が大きく報道(東京新聞
◆川内再稼働反対 鹿児島に700人 金曜デモ全国連携
 東京から約千キロ離れた鹿児島県でも、首相官邸前と同じように原発再稼働に反対する「金曜デモ」が続いている。お膝元の九州電力川内原発薩摩川内市)は最も早く再稼働が認められる可能性がある。いつもは十数人のこぢんまりした集まりだが、13日は全国に呼び掛けたところ、東京や大阪、福島などから700人(主催者発表)が集まった。官邸前で100回を超えた「金曜日の声」は、全国に広がり横のつながりも生まれている。 「再稼働やめろ」「川内原発動かすな」。午前9時、鹿児島県庁前に色とりどりののぼりやプラカードが掲げられた。「川内原発は火山の噴火、活断層などで危険」「県の避難計画は不十分」。マイクを握った人々が口々に訴える。いつもの金曜デモは夕方だが、この日は県議会初日に合わせ、朝から始まった。 101回目を迎えたデモ。普段のデモの中心となっている「かごしま反原発連合有志」代表の岩井哲さん(67)は「官邸前に倣って始めた。毎週金曜日にデモをすると全国と歩調がそろうし、続けることで運動にリズム感が出る」と話す。 (中略)
 川内原発がある薩摩川内市から駆けつけた鳥原良子さん(65)も五、六人の仲間と地元で金曜デモをしている。「しがらみで声を上げられない市民が多い。私たちが街頭に立っていれば、声を掛けるなどして、反対の意思表示ができる」 この日はルポライター鎌田慧さんの姿も。参加者らは県庁前で声を上げた後、近くにある九州電力の支店へ行進。市内の繁華街でも再稼働反対を訴えた。 東京の経済産業省前にある脱原発テントの中心メンバー、淵上太郎さん(71)も参加した。「金曜デモに行けば、いつでも誰でも原発反対の意思を示せる。官邸前も人は減ったが、今でも初参加の人を見かける。続けていくことが大切だ」  (6月14日東京新聞より抜粋)

一昨日書いた以降も原子力村の腐敗の事実は次々に明らかになる.ブログ「放射能メモ」のフランスFR3「フクシマ・地球規模の汚染へ」 和訳全文は必読.次の下りには本当に考えさせられてしまう.2011年秋当時,このことは知らなかった.

 われわれは取材旅行中ずっと、隣り合わせのモニタリングポストに出会った.政府が設置したモニタリングポストは、隣りの計器より低い線量のことが多い.この差はどこから来るのか? 東京に戻る.この倉庫は、契約解除された計器のメーカーのものだ.彼が社長の豊田氏「これが文部科省が発注したものです」(株式会社アルファ通信社長 豊田勝則)「省は600台 このリアルタイムの計測システムを注文し、福島県に設置しました」
 ところが使用が始まった数週間後省は計測値を補正するように要請した.“計器の表示する値は高すぎる”という理由である.省の通知は厳しい口調だった.「省から届いた通知です」二〇一一年十月二十六日付け.「ここに“表示値が高すぎる”とあります」「彼らは、6基のモニタリングポストを、現場で検査し省のガイガーカウンターに比べて、私どもの計器の値は、はるかに高いと」 「従って、表示値の補正が必須であると」「即座に調整を行なうように要請されました」
 しかし豊田氏の計測器は、国際基準に従ってアメリカで製造されていた.そしてアメリカの製造者は、補正を拒否した.「アメリカ側とコンタクトを取り、数値を下げてくれと頼みました」「“機器は国際基準に則している”という返答でした」「“なぜ日本の基準に合わせる必要があるのかわからない“と補正を拒否されました」

文科省が設置した計器は国内の日立系の会社の製品である.何らかの細工をして数値が低くなるようにしているのだ.2011年秋のころそれを拒否したこの豊田社長の会社アルファ通信は結局2014年6月になって倒産する.原子力村による見せしめ倒産である.それでもこの社長は負けていない.FR3の取材にも応じている.2011年秋のときのことは2011.11.24付けの「文科省「放射線量低く見せろ」要求応じず解約になったオンライン線量計」にもある.FR3は普通のフランスの公共放送のはずである.それが日本政府と文科省のこの醜態をそのまま放送している.当の日本でこの内容をどこが放映したか.当時この問題を正しく伝えたところがあったか.原子力らの宣伝機関であり,国民洗脳機関である日本の大手新聞やテレビには,皆無である.
つぎつぎに明るみに出る原子力村の腐敗.それはそれだけこの体制の亀裂が深化していると言うことだ.それに対応するかのような金曜行動の広がりと深化.この矛盾の,いわば量的な深まりは,必ずどこかで質的なものに転化する.爆発する.そうしなければならない.そのときその歴史の現場にいたいものだと思いつつ関電前からひきあげ,いつもの店で食べて戻ってきた.