金曜行動とザイトク政府

 今日は関電前金曜行動の日.秋の日和となった。仕事を一段落させて,大阪へ行く.  TwitNoNukes大阪主催の定例の行動である.ここに私も写っている!  いつもの彼やその知人たちと声を合わせる.これだけの人数ながら,二年半にわたって続いてきた.こちらも,入院していた一時期以外,参加してきた.継続は力である.主催者とも,またいつもの参加者とも知りあいも増え,外から行くというよりは,仲間内の行動に出かけるという感じである.
 さて,現在の政府,つまり第2次安倍内閣はザイトク政府である.選挙における支持層も,いわゆる「ザイトク」,つまり在特会等に集まる層であり,安倍内閣は彼らと思想において何も変わらず,内閣の配置も,まさにザイトクと軌を一にするものである.排外主義と民族差別を大ぴらにいう.それと同調する人間が大臣になる.2014年0,9月25日 22時18分 弁護士ドットコムニュースの山谷えり子大臣に「在特会」の質問集中――外国特派員協会の会見でどう答えたか? や,またyoutube【動画】山谷えり子大臣に「在特会」の質問集中――外国特派員協会の記者会見など,これらで,山谷えり子氏がいったい何を言っているのか,よく見てほしい.これが現政府の国家公安委員長である.
 また,田中龍作ジャーナル:安倍政権と嫌韓デモ はびこるヘイト勢力が伝えるように,警察は,嫌韓デモに付き添うようにこれを守りながら,抗議のため座り込んだ参加者をゴボウ抜きにして,逮捕者も出している.警察もまた,現政府の方針にあわせている.というより日本の警察の体質は,個々の警察官がどうであれ,組織としてはもともとザイトク的であった.ここで「秘密法」が施行されると,それはさらにザイトク政府に凶器を与えることになる.
 日刊ゲン・ダイの記事「安倍首相も在特会幹部と2ショット 渦中の元支部長を直撃」のように当のご本人がこの有様である.当然,稲田大臣ら与党国会議員がネオナチ団体代表と議員会館で会談・記念撮影となる.そして安倍首相の国連演説である.その全文が官邸のページに載っている.第68回国連総会における安倍内閣総理大臣一般討論演説である.外務官僚は,首相の支離滅裂をあえて世間に公表するためにこれを載せたのか,といいたくなるほど,この演説は破綻している.いまの首相が,国連で何を言っているのか,どうせつまらんことを言ってるのだろうといわずに,読んでみてほしい.日刊ゲンダイが「金バラまきの恥さらし…世界が失笑した安倍首相の国連演説」と適切に報じている.
 第一次世界大戦ヒトラーと,二回愚かなことをやった欧州の人間からみれば,多くの人は安倍の演説を聴いて,日本人はまだなにもわかっていないと思うだろう.ファシズムは結局うまくいかないことを彼らは歴史の教訓として知っている.日本人はまだ悲惨な戦争を一回しかやっていない,だから安倍のようなものでも首相でいられるのだ.そう思うだろう.しかしその欧州でも,国民戦線などの右翼やウクライナのようにヒトラー主義が増えてきているのだから,歴史は複雑である.
 安倍首相は国連演説で,女性の活躍をいった.そして起用したのが,山谷,稲田,高市,有村,であるから,これは世界の笑いものである.しかしここにはさらに考えるべき問題がある.国会議員の世界は,とりわけ自民党議員の世界は男社会である.そのなかで,保守系女性議員が自分の地歩を確保しようとするとき,その手段が,ネオナチとの交流であり,中途半端な男議員より明確に右翼思想を掲げて行動することではなかったのか.そのように考えると,排外主義・民族差別の街頭行動に流れる若者と,これら右派の女性議員には,ともに,そうでもしなければ自分の存在位置を打ち出すことができなかったのだという共通点がある.そこを巧みに使うのが安倍政権である.ザイトク系の若者の投票で票を集めることも,閉塞していた女性議員を登用して政権基盤を固めようとすることも,同じことであり,この意味でまさに安倍ザイトク政府である.
 「ザイトク」は固有名詞が語源であるが,同時に資本主義が終焉に向かう段階で現れた世界各地の民族差別・排外主義潮流の日本版として普通名詞でもある.欧州議会でこの潮流は一定の数を獲得したが,もとより権力は握っていない.安倍政権は,現代世界にはびこる民族差別・排外主義が国家権力を握った,ほとんどただ一つの存在である.もう一つ,ヤヌコーヴィチを追放した後のウクライナもそうだったが,大統領が替わり,ボロシェンコになって以降,政権内の暗闘が続いている.彼らは,今の世の中で、閉塞状況にあるもののその気持ちを逆手にとることによって,政権の基盤を作るのである.ヒトラーもそうだった.
 いつまで,安倍のような人間に首相をやらせておくのだ.二度目の茶番劇など早くやめさせろ.これは歴史の問いかけである.マルクスではないが,「歴史は二度くりかえす.一度目は悲劇として,二度目は茶番劇として.」である.しかしその茶番劇も,現実は悲惨である.次代ののために,わが世代はもう少しなすべきことがある.そんなことを考えながらの,秋のはじめの金曜行動であった.この金曜行動の主催者と重なるANTIFA大阪の人たちは,日曜の28日に消費税率引き上げ断固反対デモin大阪をやるとのこと.心から連帯!
追伸:ANTIFA大阪のツイッターに28日のデモの様子.「ANTIFA」とは「Anti-facism」の略語.金曜行動がこのような広がりを見せていることは嬉しいことだ.