歴史を教訓に!

 今日は定例の関電前金曜行動の日.同時にシールズ関西の金曜街宣が大阪駅前である.夕方まずJR東西線新福島で降りて堂島へ向かう.福島界隈の雰囲気が気に入ってここを歩く.関電前に着く.いつもより少ないが,それでも30人くらいが集まっている.先日川内原発が再稼働し,桜島に噴火の前兆があるというときである.どこまで人間は愚かのかと,それも心にかけながら,いつものように関電に向けて声をあわせる.100人くらいにまでなっただろうか.今日はいろんなところで集会や街宣が行われている.この関電前の三年にわたる行動の積みあげもまた種を蒔いたことはまちがいない.7時半になって,中休みのところで,サドル大阪の女性がこれからの行動への参加を呼びかける.
 それを確認して,こちらはそこを離れ梅田に向かう.多くの人が集まっている.主催者発表1500人.大阪駅北側の集会では,ちょうど辻元清美議員が喋っていた.いつも関電前で会う彼とここで出会い,いっしょに聞く.彼女はやはり野党の方がむいている.彼女は大阪高槻市が地元選挙区.初期の頃の選挙では,私の知りあいたちもいろいろ応援して当選させた.ところが2010年に「政権中枢に喰い込まなければ仕事はできない」と社民党を離れ民主党に入る.3.11の後,枝野らと組んでいろいろやっていたが,まったく精彩がなかった.かつて応援した地元のものはみな怒っていた.それがまた野党になり,彼女も考えたのだろう.戦争法に反対するというところから,生き生きとやりはじめ,先の選挙も自力で選挙区で当選していた.喋るのがうまい.喋り方ではいろいろ参考になる.有権者の責任ということを言って,みなに行動を呼びかけていたのもいい.
 そして,学生時代アフリカなんかを放浪したという京大の院生が喋る.なかなかこれも自分の言葉で喋っている.アフリカで知りあった人に,戦争のない日本の意味を教えられたと彼女は言う.説得力があった.憲法九条とそのもとの社会のあり方を,アフリカ放浪から逆に学んだ.それだけに,安倍は許せない.また,共産党の議員や白井聡さんも話していた.最初に内田樹さんも話されたそうだが,これはきけなかった.シメのところで白井聡さんが語る.IWJにその全文がある:防衛省内部資料流出で「国家内部にも、こんなゲームには付き合えないと思っている人がいる」京都精華大・白井聡氏が大阪で勝利宣言!〜「問題は安倍政権後の社会をどうするかだ」
 私は勝利宣言というより,よりこれからの課題の提起と聞いた.安倍退陣で終わるのか,安倍を操っているアメリカからの独立という問題に向きあうのか,白井さんは,そのことを運動を続けながら考えてゆこうということを言っていると私は聞いた.アメリカが狙っているのは,戦争法は通し安倍を退陣させ,湯気ぬきをして,普通の戦後的自民党政府を操って日本を戦争の手下に使うことだ.それを許すのか.
 アメリカの狙いは先日山本太郎さんがそれこそ命がけで参議院の委員会で明らかにした.山本太郎議員が日本政府の「属国タブー」を追及!原発再稼働、TPP、秘密保護法、集団的自衛権…安倍政権の政策は「第3次アーミテージレポート」の「完全コピーだ」砂川判決は米国に魂を売った「腐った判決だった」! 山本太郎議員が米国の“ニーズ”で国防費を肩代わり(リバランス)する政府を追及「忠犬ハチ公もびっくり」.すでによく知られていることとは言え,国会で写真入りで言われれば,アメリカの立場はない.立て前と実質を分け,裏から日本を支配するのが戦後のアメリカと自民党の方法だったからだ.

やつらを通すな! ¡No pasarán!」 これをいま,日本のシールズの若者たちが叫ぶ.もともとは1930年代,かつてのスペインにおける共和政府とファシズム反乱軍との内戦のなかで,反ファシズムの側の標語であった.この歴史の記憶が、日本の運動に甦ったことはほんとうに意味深い.しかし,スペインではフランコの率いる反乱軍が勝利し,フランコは「おし通ってぞ」とマドリードに入った.そしてその後のナチズムやイタリアファシズムに繋がっていった.この歴史を忘れてはならない.なぜ敗れたのか,そのことをよく考え,歴史の教訓として忘れてはならない.一言でいえば,共産党と他の党派や人びととの統一が,やはり十分ではなかった.われわれは,かつてのスペイン内戦における共和派の闘いの歴史を教訓に,反ファシズムの闘いを引き継ぎ,そしてファスズムにうちかたねばならない.スペイン内戦を超えねばならない.
 現代に即していえば,安倍をひきづり降ろして終わりなのか,戦争法を求める帝国アメリカからの独立の闘いに進むのか.ファシズムはゆきづまった資本主義の最後のあがき,最後の段階である.ナチズムや日本軍国主義は,後発の資本主義としてイギリスやアメリカに囲まれその枠内でゆきづまって現れた.今回の安倍ファシズムは資本主義そのものの終焉期に現れつつある.そしてアメリカもまたこのファシズムに覆われつつある.であるから,今日の日本の反ファシズムの闘いは,世界大の場で,日本を目下の同盟者とする日米ファッショ連合との闘いでなければならないし,そこまでゆかねば何ごとも解決しない.この問題はしかし,若者に任せるのではなく,われわれが引き受けねばならない.
 自分の言葉で語り,はばひろい団結を. これはすでに書いたことなのだが,近代日本で人間の立ち位置を考える座標軸は,一方で確かに右派か左派かがあるのだが,他方では,近代主義か愛郷主義かがある.愛郷主義は,草の根主義であり,土着主義でもある.愛郷主義といえば言葉は固いが,その人がどんな人かを見分ける方法がある.それは,その人が自分の言葉で語っているかどうかである.近代主義者は翻訳語で語る.東大話法も近代翻訳語の産物である.
 近代日本では,近代主義か愛郷主義の軸が,左右の軸よりもより本質的である.左派の中では,沖縄が生んだ革命家であり日本共産党の創設者である徳田球一こそ愛郷主義を土台とする共産主義者である.私は一貫して徳田球一を尊敬してきた.対米自立をめざす愛郷主義保守の人は,今日もさまざまに闘っている.彼らは,安倍のような親米売国のエセ右翼とはまったく異なる.憲法九条をかえることに反対する.TPPに反対する.その根底にあるのは,帝国アメリカからの独立である.この人たちとの団結ができるか.
 帝国アメリカは現代のローマ帝国.崩壊過程に入ったローマ帝国である.資本主義西洋のなれの果てとしての帝国アメリカ.しかし帝国は崩壊するとき,おおきな迷惑をまわりにかけて崩壊する.これにいかに対処するか.上海機構にせよ先のアジアインフラ銀行にせよG20にせよ,世界はアメリカ後に備えて準備をはじめている.その中で,日本の外務省の路線,日米合同委員会の道は,日本がイスラエルとともにアメリカと心中する道である.現代の人類が直面する最大の問題,それはアメリカ問題である.知恵を出しあいアメリカ問題に向かわなければならない.
 この事実を背景に,左右の枠組をのりこえて,はばひろく人々は団結しなければならない.ようやくにこの日本で、それが歴史の課題となりつつある.また,それが歴史の要求である.近代日本のなかで,福島の核の惨事を契機とし,それをショックドクトリンとする安倍ファシズムに対抗する過程で,この問題が歴史の現実の課題として出てきた.現実をつかみ歴史がいま求めている課題に向きあうことが出来るかどうか.これが問われている.