晩秋の金曜行動

 もう11月も間もなく終わりである.今日は金曜行動の日.寒い日であった.2年前の今頃は病院にいた.それを思うといささか感慨深い.朝から,夜中に寝ながら考えたところまでは書いておこうとPCにむかう.一段落して,午後は市役所へ行って二箇所を周りいろいろ話すことの多い日であった.役所というところはこちらから動かないと何も変わらない.一方に行ってこう言っているということをつかみ,他方に行ってそれを伝えようやくひとつ解決した.自治会の役員なんかはまったくのボランティアであるが,考えてみれば昔も今も金にならない仕事を仕事と考えやっている.自宅から自転車で25分というところに市役所はある.
 ここを往復して戻ってからまた,PCに向かい考えること,そしてその入力とをする.このところ数学の本を読み考え,自分で書いてきた『解析基礎』の改訂をしている.世の中には売らんがため,読むものに媚びた数学解説書があふれている.しかし,近代日本における数学の根づきという観点から見ると,まったく何かカゲロウのように空しい.その中でもまじめにそれを憂いているひともいる.こちらは,考えたことをそのまま書く場として,自分のサイトを作っているので,遠慮なくできる.それでも,15年やってきて初期のものを読みかえすと,書き直したいと思うこと多々である.これからどれだけの時間があるかはわからないが,改訂増訂に時間をかけている.
 それから夕方に大阪までいってきた.気分転換でもあり,声をあげながらやっていることを見直す場ともなっている.80人ほどの参加者だろうか.皆で声をあわせる.この寒さのなか,集まってくる.途中で,主催者も話していたが,大阪の先日の選挙はやはり向かうところの壁の大きさを改めて自覚させた.それだけに,諦めずこの行動と続けていこうという彼女の言葉には,主催しているものの決意と覚悟が表れていた.
 出たばかりの『NONUKUSES voice』の第6号を買う.鹿砦社のサイトにもあるように,脱原発反戦・反安保━世代を超えてという特集をやっている.編集部との対談であるが,編集長の松岡さんが,奥田愛基さん(SEALDs)と 学生ハンスト実行委員会 のメンバーと それぞれ直接に語りあっているのが面白く,教訓に満ちていている.そして松岡さん自身が「現代の学生運動ー私の体験に照らして」と題して書いている.この夏から秋の運動の盛り上がりの経験の総括として,この特集は意味深い.賛否色々あろうが,ぜひ一読.意見を交換したいものである.
 松岡さんは昔『季節』という季刊雑誌を出していた.京都にいる頃から読んでいた.本棚には1980年の『季節』の第4号がある.『季節』のもっと大きいのもあるが,それは今は押し入れにある.80年代に一度西宮の事務所でお会いしたこともある.彼はもう覚えてはいないだろう.そんなことも思い起こしながら,電車の中でいくつか読んだ.私は彼の考えに近い.教員をしていたこともあって,若者が立ちあがったことの意義を,いろいろな課題はそれとして,大きく受けとめようとするところなどに少し感性の違いがあるかも知れない.
 松岡さんは私などよりはるかに体をはってやってきた人だ.それを踏まえての,奥田愛基さんとの対談など,本当に考えさせる.この対談を雑誌にしたこと自体,松岡さんの大きな仕事だ.彼もまたこのような時代にもういちど巡りあうとは思ってもいなかっただろう.などなどいろいろ考える一日であった.追伸.夜中に編集後記を読んだ.松岡さんが一人で書いている.その気持ちよくわかる,と相づちを打つこと一度ならず.ぜひお読み下さい.それにしてもこれは,私自身のこれまでを省みなければ本当には読めないものだ.追々それについても書いてゆきたい.
 追伸:この問題で反原連が声明を出している.首都圏反原発連合:ステートメント 【鹿砦社発行「NO NUKES Voice」に関する見解と広告掲載中止などについて】.試されているのは,われわれの側の民主主義である.運動内部の民主主義の原則は,批判の自由・行動の統一 である.それを踏まえて,双方読み比べてみてほしい.