十日戎の日

今日は西宮神社十日戎.授業がない日だったので,昨年の「十日えびす」と同様,今年も午後いっとき参ってきた.今年は猿回しが来ていた.人のでの多いこと.平日の昼間でこれである.夕方から夜はもっと多くなる.今朝も恒例の福男選びが行われていた.神戸新聞福男選び、一番福は川崎の大学生 西宮神社.何で福女選びはないのだろう,とも思うが,江戸時代から続くこの行事も全国化した.去年も書いたが,えべっさん西表島などのみるく神と同じ体型をしていて,揚子江域かもっと南のほうか,いずれにせよ海の神である.
人の中を歩きながら,ファシズムとは何かと考えざるを得なかった.ここに来ている人らの多くは,西宮なら維新系の支持者が多いだろう.自民党の地元の国会議員ものぼりを立てていた.戦前も戦争をすすめながら,そのときも十日戎は行われていただろう.今はもうその段階かも知れない.そのときこちらは本当に人の心の襞に届く言葉が出せるのか.このあたりに自分の営みの課題がある,等々考え戻ってきた.
戻って幾つかネットを見ていると アメリカ国務長官、「ISISの結成目的はシリア政権の打倒」 - Pars Todayがあった.ParsTodayはイラン系のニュースサイトで,2016年1月からはじまったとある.「英語のインターネットサイト、オフ・ガーディアン」からの引用という形なので,ケリーがいつどこでどのような場で語ったのか確認しないといけないのだが,ここに書かれていること以上にはまだできていない.
ただ,アメリカ政府がISISを作ったというのは本当である.冷戦終結の頃,ちょうど資本主義の行きづまりも明白となり,もはや軍需産業しか利益が出ない段階に入り,帝国アメリカの軍産体制が,冷戦終結以降も世界を戦争状態に置くため,アルカイダを養成し,そしてそこからISISを作ったのは事実である.トルコが最近ロシアとの関係を深めている.先日のトルコ国内でのテロはISISの犯行声明が出ている.ロシアに寝返ったトルコ政府に対する帝国アメリカの軍産体制の仕返しとみれば,よくわかる.
オバマ政権はこの帝国アメリカの軍産体制と闘おうとして,ほとんど何も出来なかった.それだけにオバマ政権の国務長官が,この話をしていたということは,多いにありうる.こういう一つの事実にも,帝国としてのアメリカの凋落と,そして今日の時代が,帝国アメリカが崩壊し,経済の時代から人の時代へ向かう一大転換期にあることがわかる.そのなかでトランプ大統領も誕生した.「イスラム原理主義」も「ウクライナ問題」も帝国アメリカの軍産体制が生みだしたものである.崩壊する帝国をいかに軟着陸させるのか,これが今日人類が直面する最大の課題である.この観点をしっかりもとう.そのように考えるなら,日本政治の現状が,滅びゆく帝国と心中しようとするまったく二度目の茶番政治であることもまたよく見えてくるのではないだろうか.
私自身は,次の時代の扉を開くため,それをになう人間づくり,そのための基礎作業が近代日本語をその根底から定義しなおす再定義の試みであると考え,この20年いろいろやって書き残してきた.人間は資源ではない.言葉をもって協働する尊厳あるいのちである.日本列島弧や琉球列島弧で,言葉をつむぎ命をつないで,縄文時代からでも一万五千年にわたって人々は生活してきた.その暮らしのなかで形づくられてきた生きかた,つまりそれを里のことわりというのだが,言葉の中にそれを聴きとろうとしてきた.人は言葉をもつがゆえに人である.いかに国破れ,世が荒廃しても,言葉を慈しみ,生き方を模索するものがいるかぎり,希望はあると考えてきた.歴史は,この人間原理による世を求めている.広島・長崎・福島の惨事を経験したものは,それをふまえ,責任を果たさなければならないのではないか.