励まされて

 この年になると小さなことでもいろいろ励まされる.

 昨日四日は私の七二歳の誕生日.この日を覚えていてくれた自治会の副会長が誕生祝いにと朝方日本酒をもってきてくれた.そしてその日の午後,大津に住む妹からお中元をかねて近江の地酒を贈ってきてくれた.「体に気をつけてまだまだご活躍ください。」とのこと.それぞれにありがたい.
 七月四日はアメリカ独立記念日.昔はそれと同じ日であることがなんとなく自慢であった.いま思うことは,アメリカの人々に独立のときのこころざしを取りもどしてもらいたいということである.しかしそう言うと,ただちにそれは日本自身の問題に返ってくる.明治維新に生涯を捧げた国学の徒の思いを,近代日本は裏切った.それが『神道新論』の導入となる第一章であった.

 今日は朝,次のメールがきていた.

 Kと申します。和算の勉強中、御サイトの書庫「幾何分野」の「デカルトの円定理と一般化」や「パップスの定理」などにたどり着き混迷の中から抜け出すことができました。
 有益かつ貴重な資料を惜しげもなくご提供くださり心より感謝しております。有難うございました。      二〇一九年七月五日

 このようなメールにはほんとうに励まされる.ありがたい.青空学園もこの夏で二〇年になる.数学科ではA4版のPDFで3200枚になるものを,HTMLで公開し,PDFも自由にとれるようにしてきた.数学が少しでも根づくようにと願って無償で公開してきた.これは私の信条にもとづくものである.教科書風の数学書は多くある.しかし,高校から大学範囲の数学を,学問としての立場からそれなりに探究し書き表したものはほとんどない.そのような試みの跡を残しておこうと,これをやってきた.
 こちらの意図に合致した感謝のメールは,やってきたことが無駄でないことの証しであり,逆にこちらが感謝する次第である.
 青空学園数学科の訪問者数は普通一日で120ほど増える.昨日からは260増えている.それだけの人がここに来て,何かを考えている.その事実から,逆にまた責任も大きいことを思う.こんな話題で書いてみてほしいなどあれば,意見を寄せてもらいたい.

 そしてもう一つ励まされるのは山本太郎とその仲間たちの崛起である.彼ら10人の言葉は,これまでこのように表に出ることはなかった.この参議院選,そして次の衆議院選をつづくなら,新しい段階を拓くのではないか.「分水嶺にある近代日本」を今年の初めに書いたが,こちらの方向が現実化するとはなかなか思えなかった.これについては,書きつづけたいが,大いに励まされている.
 写真は火曜日に京都で食べたハモの天ぷら.京都の夏である.