鮒寿司考(続)

昨夜、鮒寿司を分けてもらった店長に味の報告.本当にうまい.あの酸味がたまらない.肉が軟らかいといったら,骨まで柔らかくなるのがニゴロブナの特徴だそうだ.琵琶湖のニゴロブナが減ってきた.それとあの鮒は30cmどころかもっとあったようだ.ニゴロブナは小さいものは捕獲しないことになっている.店長が言っていたけれど,長い時間をかけて琵琶湖の人はニゴロブナのうまさを学んできたのだそうだ.ニゴロブナは琵琶湖固有亜種で特産である.ゲンゴロウブナも琵琶湖固有種.いずれも絶滅危惧類である.ニゴロブナがいたから,鮒寿司もこの地で育ったのだ.調べると鮒飯岡山県の郷土料理だそうである.
それから店長と話が進む.結局若狭の原発の話しになる.もし若狭で何かあれば、琵琶湖が死ぬ.琵琶湖にも地殻変動はあるだろう.しかしそれは人間の寿命とはまったく異なる長い周期である.人間の勝手でここで琵琶湖を死なせてはならない.いずれ南海地震は必ず起こる.若狭の断層も動く.それでも原発を再稼働するか.そんな話をして,そして,まだやろうとしているやつがいる、と言うことになる.まったくその通りなのだ.
店長はこの店をながく切り盛りしてきた.趣味はグレ釣りである.先週は三重まで自分で車を運転して釣ってきた.それを店に出す.店長のグレのあぶりは絶品である.ときどきしか出ないが,昨日はあった.帰りしなに,グレを2匹くれた.焼いてすぐポン酢で食べろと言っていた.試してみる.京都に来られる折にはこの店に案内する.一報を.
それにしても,人間が生きてゆくとはどう言うことだろうと,こんな話をしながらつくずく思う.私はこの世界に自分があることがまだなにかよく分からない.若い頃からこの感覚はずっと続いている.分からないままでもいいから,とにかく精一杯のことはしてきたか.それもまだまだという感覚が強い.もういちどいろいろよく考えてみるつもりだ.