「建国記念の日」に

 昨夕は梅田解放区であった.統一地方選挙までは,毎週土曜日にするということで,参加してきた.いつものように,十数人が梅田のHEP5前に集まり声をあげる.
  戦争反対!
  差別反対!
  大阪にカジノはいらない!

  維新はいらない!
 この日も私は「戦争反対!」「岸田やめろ!」と書かれた横断幕をもつ.
 京都から来た若者が,自分の経験も語りながら,建国記念日反対の演説をしてくれた.たたかうあるみさんも久しぶりに参加し,語ってくれた.
 写真にあるように尼崎の反戦ターガースさんも親子で参加し,歌い語りしてくれた.
 Swing MASA さんもいつもの「NO WAR!」のゼッケンをつけて楽器を吹く.
 こうして皆で街頭から声をあげる.

 昨日の11日は「建国記念の日」であった.「建国記念の日」とは何の日なのか.そもそもその「国」はいつ成立したのか.明治維新の後に近代国家が成立して,はじめていわゆる国民国家ができたのである.江戸時代以前から「くに」という言葉はあった.しかし「おくにはどちらですか」の「くに」は国家ではない.
 長州をはじめとする勤王派が,天皇をかついで江戸幕府を倒し明治新政府をたてたのである.明治になって,神武天皇の即位日としての「紀元節」,ときの天皇の誕生日としての「天長節」が制定された.
 そして日本は軍国主義の時代に入ってゆく.天皇国家元首として人民統治に使うためには,天皇の正統性を示さねばならない.そのために,「万世一系」の天皇記紀の時代から日本を統治してきた伝統の治者であるという物語を生み出したのである.紀元節は,軍国主義の時代に侵略戦争に国民を動員するための虚構であった.
 敗戦によって,紀元節はなくなる.しかし,1967年佐藤栄作内閣のときに多くの反対があったが,「建国記念の日」という形で復活した.
 つまり「建国記念の日」とは,かつての大日本帝国の残滓,残りかすなのである.安倍元首相の「国葬」もそうであった.今の日本には,大日本帝国の残滓にすがる勢力が存在している.支配層の一部ではない.自民党や維新の会そにものがそうなのだ.
 そしていわゆる家父長制という家族のあり方は,明治政府が作った天皇制と一体の虚構である.江戸時代から明治時代の前半頃まで家父長制でない婚姻(母系制=夫婦別居の妻問婚など)の大家族が残っていた.家父長制は古来からのものではない.ところが,家父長制とそれにもとづく家族観が,いまも多くの自民党議員から出てくる.杉田水脈や,日本会議そのものなど,つまり支配政党の家族観は家父長制なのだ.

 昨日は,もし語る人がいなかったらと,このあたりを準備していたのだが,その必要はなかった.それで,ここに書いておく.また,「紀元節」の問題を話してくれた人もいた.

 東梅田は本当に多くの人が通る.そのなかで,幾組かの若者が立ち止まって耳を傾ける.今の政治,世のあり方に異議をとなえ,これを変えてゆこうと街頭から声をあげることは大切なことだ.

追伸:記憶のためにここに書いておく.
 日本数学協会の『数学文化』が休刊する.私も会員なので,そのための臨時総会の案内が届いた.会員数の減少で発行が困難になってきたとのことである.第38号私の一文を掲載してくれたことに感謝する.
 これからの活動は主としてネットを使ってゆくとのこと.時代の流れというべきかも知れないが,いささか感慨深くもある.
 それで,青空学園もこれからどうしてゆくのかを考える.TeXの元原稿なども配布しているが,いつまで続けることができるのか.