緑の社会主義

 昨夜は今年最後の梅田解放区であった.中津の公園に集まり集会をもつ.幾人かがそれぞれに今考えることを訴える.私は後ろに立ってそれを聞く.集会が終わりデモにうつる.私は前にいって横断幕をもつのを代わる.

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 ここから東梅田までデモをする.師走の東梅田は人が多い.横断幕をもってデモの先頭で歩く.およそ25人というところか.よくみると新しい若い人が増えた.横断幕も「スガやめろ!」の新しいものになっていた.
 こうして集まり行動することが世を動かす始まりである.私はそう考えるので,この日も皆と歩く.そして東梅田ではいつものように街頭からの呼びかけをする.京都から来たという若い人の訴えも心に響く.

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 さてこの間,『地球が燃えている : 気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』(ナオミ・クライン , 中野 真紀子他 | 2020/11/18)を読む.

 ナオミクラインは「ショックドクトリン」で知られているが,現代の問題に正面から取り組む人だ.
 本書は,気候危機が歴史的に要請している新しい社会のあり方を,提起するものである.気候変動,これはつまり,温暖化であるが,それに対してどうするかはもはや一刻の猶予もない!  化石燃料を使い尽くし、戦争と格差を生み出す資本主義から,脱炭素社会への大転換を可能にするのは,資本主義を終わらせるしかない.これを提起する.
 オミ・クラインのこの書はほんとうに衝撃的である.著者は,いま世界がどのようになっているのかについて,具体的な事実を挙げながら語る.これについては,雑誌「経済」(2021年1月号)は特集が「コロナ危機とグローバル資本主義」で同じ問題を特集している.
 まさに,地球は今かつてなかった問題に直面している.資本主義が無限の資源があるという全体で拡大してきたが,それは資本主義の本質から来る幻想であり,資源には限りがある.地球の有限性に規定された資本主義の有限性.いまそのことを考えろというのが,今回のコロナ危機の教訓である.
 では,ここからどのように転換してゆくのか.斉藤幸平氏は『人新世の「資本論」』においてこの問題を提起し,マルクスを再読している.

 資本主義のもっとも基本的なことは,地球を,そして人を金もうけの資源とするということである.それに対して,人を人として敬い,この地を生きる場として尊ぶ世を生みだしてゆかねば、地球に次はない.
 今年のコロナ危機もまたこの資本主義の野放図な地球改変の結果である.ここから教訓を引き出すことができるのか.それが問われている.来年はいろいろな面において大きく動くであろう.ものごとの本質が否応なく表に出るときとなるだろう.

  資本主義の次の段階は「民主的な環境社会主義」ともいわれるが,言葉としては,私は「緑の社会主義」が適切だと考えている.「根のある変革への試論」の中でこれを深め,試論の草稿を仕上げること,これが私自身の来年の第一の課題である.
 そして,この時代の歴史の要求に応える新しい運動を何とかこの日本で創り出したい.若い人らと試行錯誤し,この糸口を生みだすこと,これが第二の課題である.
 できるかぎりのことをしたいと考えている.

 今日27日と明日28日は地元の自治会の夜回りである.およそ10人ほどが集まって「戸締まり用心,火の用心」と声をあわせ,拍子木をたたきながら,町内をまわる.地域の年中行事になってきた.こうして今年も過ぎてゆく.

冬の神戸と梅田の街頭で

 12月6日(日)午前11時から「日本学術会議会員任命拒否の撤回を求める市民デモ第3弾」に参加してきた.集合場所は三宮東遊園地である.市民デモHYOGOと憲法共同センターの共催で200人ほどの参加であった.神戸大学名誉教授の森井俊行さん、神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんがそれぞれ話され,それからデモに移った.内田さんの話は上記YOU TUBEにある.
 三宮にある神戸市役所の南の歩道の紅葉が美しい.遊園地北入口付近からその歩道に出て北に上がり,三宮商店街を西に進んでJR元町駅東改札口手前までデモした.内田さんも言っていたが,集まってくるのはわれわれの世代ばかりである.若者はいない.

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 12月12日(土)は定例の梅田解放区であった.冬の梅田であったが,若者が20人以上が参加し,街頭に立つ.こちらはいつものように横断幕をもつ.若い人らが,どんどん戦争をする国に変化している今の日本への危機を語る.また,非正規労働者として闘い一定の結果を勝ち取った人が,自らの経験をもとに,前をゆく若者に闘うことを呼びかける.みな自分の経験に即して語る.
 私にとっても大いに勉強になる.こうして梅田に来るようになってもう三年である.はじめて参加したときのことをここに書いた.街頭に立ち,若者の語りを聞き,そして考えることは自分にとってたいへん貴重なときである.
 この日はなかなか面白いこともあった.こちらは少し離れていて話しの中味がよくわからなかったのだが,それはたたかうあるみさんのブログを見てほしい.こういう右傾化した若者が逆に増えている.これはこれまでの教育の結果である.

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 最近『人類は資本主義を本当にこのまま続けられるか~斎藤幸平と水野和夫が次の社会を構想する』と題する,大阪市立大学大学院経済学研究科准教授の斎藤幸平さんと,法政大学教授のと水野和夫さんの対談を読む.
 ここでは今日の世界の根本的な問題が,普遍的に語られている.それはまったくその通りであり,それが地についた日本語でこのように語られることは意義深い.
 しかし,現実にその構想を具体的に実践しようとすれば,それはそれぞれの地での固有性に立脚した実践でなければ根のあるものとはなり得ない.根のある言葉と実践という問題を考え続け,そのための礎となる作業を青空学園日本語科に置いてきた.

 今の世のあり様もまた,まことに酷いものである.それでもこの間,いくつかの新しい動きがあった.
 11月1日の大阪市廃止の是非を問う住民投票でその阻止が決まった.
 そして,12月4日の大阪地裁の大飯原発3,4号機の設置許可取り消しの判決が出た.これは8年半に及ぶ長い闘いであった.「原発の終わりが見え始め早く終わらせるための闘いへと段階が変わった」という言葉を見つけたが,その通りである.
 そのうえで言えば,現在の支配政治と原発は一体である.これを終わらせてゆくために,まさに今の政治を変えなければならない.
 上記のような形の街頭での運動が出てきたことは,一つの段階として新しい.しかしこの道は遠く,先は長い.こちらもできることはしようと街頭に立つ.

秋深きー安倍スガ政治を終わらせよう!

 昨夜は定例の梅田解放区であった.5時半に大阪北の中津にある豊崎西公園に集まり,小集会の後,多くの人がゆきかう週末の梅田までデモをする.そしていつもの東梅田の街頭に立って語り,道ゆく人々に呼びかける.20人超の参加であった.
 まったく今の日本政治はすべての規範が崩れてゆくという悲惨な状況にある.ここまでのことになって,なぜ日本では大衆的な怒りの直接行動が起こらないのか.多くの人はなぜ声をあげないのか.情報産業をすべてむこうがおさえているからなのか.それを破って立ちあがらなければならない.
 しかしこれは中央の政治の問題だけではない.今の世のそれぞれの場での現実の悲惨である.これをうち破るために行動せよ.

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 安倍前首相の犯罪が,ようやく捜査されはじめたが,安倍を逮捕するかどうか,ここが分岐である.それは人民の怒りと行動が決める.今はまだまったく弱い.量の問題ではない.質の問題である.量はわれわれの運動の質が決める.アベ逮捕となるかどうかはわれわれの運動の力の問題である.
 少しでもできることはしなければならないし,声をあげなければならない.ということで,こちらも若い人らと一緒に梅田の街頭に立つ.

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 最近多くの人が日本の没落を言うようになった.数年前から私は徹底して没落しきらなければ日本の再生はないと言ってきた.同時に,それは犠牲が大きすぎるとも言ってきた.現実に日本は没落している.ここからの反転の芽はあるのか.
 このままでは翼賛体制となりそのもとでの憲法の改変まで行きつく.それが世界軍需産業の狙うところである.十五年戦争を経てできた戦後の体制が根底から覆される.現在の日本の人々の置かれた状況から,それはありうる.没落とはそこまでゆくことになるのか.
 そのことを考えながらデモをし,若い人らの語るのを聞く.集会のあと若い人らはいつも交流会をしているのだが,私はそれには出ないで西宮に戻ってきた.

 この間いろいろ集まりがあった.20日は,地域アソシエーション研究所の総会であった.私も会員なので参加し,その後の交流会も出てきた.ThさんやTdさん,人民新聞の山田編集長,それぞれ長いつきあいだ.梅田解放区を主催している園君も来ていた.
 この研究所は,北大阪での戦後の長い運動,その中心におられたのが上田等さんだが,その流れのなかにある.考えてみれば私の二度目の中国旅行も北大阪商工組合の訪中団に加えてもらったのであり,この流れのなかでのことであった.

 休日の23日は,Uさん,Tmさん,Yさんと茨木市の故Hさん宅へうかがう.Hさんの夫人を交えて鍋を囲む.Hさんは入院闘病のなか,八月に自宅に戻り,十月下旬に亡くなった.私と同い年である.72年73年と「月刊たいまつ」の読者会をやっていてそこで知りあった.私は73年の秋に兵庫県に移動したので,Hさんとのつきあいはこの2年間だけであったが,UさんやTmさんはその後もつきあいがあった.また,こちらは思い出せないのだが,Yさんは高槻の市会議員や大阪府会議員もした人で,私とは京都ベ平連の時出会っているとのことである.この後Yさんとは郵送でたがいの本のやり取りもした.
 Uさん,Tmさんとは「月刊たいまつ」の読者会で知りあって以来,もう48年のつきあいだ.かつて働いていた市芦の仕事も京都の下宿でTmさんからまわってきたものだった.こういう知りあいに助けられてきたこの半世紀のことをいろいろと思う.

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 『ショック・ドクトリン』などの著作で著名なカナダのナオミ・クラインは,新著『地球が燃えている』で,気候変動がこのまま進行すれば人類存続の危機が訪れると警鐘しているとのことを読んだ.実際その通りである.
 2030年までに,世界全体が脱炭素化に向けて抜本対策を講じるべきと言われている.しかし資本主義はその本性において生産を拡大しなければ存続しえない.気候変動を招いたのは資本主義そのものである.資本主義のまま気候変動の問題を超えることはできない.
 彼女は「グリーン・ニューディール」を提唱する.私がかつてより言ってきた「経済より人」である.そのためには人が今よりもはるかに大きくならねばならない.しかし今の日本の政治を許している人の有り様をみていると,やはり危機に直面しなければ変わらないのかとも思う.
 こちらはなすべきこと,できることをやりながら,考えてゆきたい.上の写真は12月1日の夕方,犬の散歩のときにとった甲山.満池谷墓地の一角から北への眺めである.

晩秋の梅田解放区

 昨夜は定例の梅田解放区の日であった.阪急をおりて東梅田に行くと,同じ場所で4時半からあったGowestComewestの人らの街宣が続いていた.こちらも声をあわせる.福島県から大阪に避難してもう長い人の訴えをきく.日本政府がいかに無策で酷いか.それでもこういう連帯を繋いできた人らの努力に頭を垂れる.立って聞いているのは結構寒い.晩秋であることを思う.

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 それから定例の時間がきて梅田解放区をはじめる.第2と第4土曜は東京や広島や,その他のところで,それぞれの時間帯で一斉に「安倍スガ自民にとどめを」と街頭に立つ.ここ梅田では20数人が参加し,街に向かって思いを語る.

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 若い人らが,慰安婦問題,ベルリンでの少女像をめぐる問題での日本政府の愚かさ,外国人実習生の人権蹂躙労働問題,格差と非正規労働の問題,そして生活困窮者に対する維新政治の責任放棄,等を語る.
 こちらはもっぱらビラ配布を手伝う.私がこの集会に参加するようになって間もなく三年である.主催している園さんやその頃からやってきた人と,この間のいろいろな問題,とりわけコロナ禍の問題から参加してきた人と,多彩である.はじめて参加したときのことは『「沖縄今こそ立ちあがろう」の歌』にある.そしてこの三年,世の有り様は何も変わらないどころか,よりいっそう酷くなっている.
 前にも書いたが,韓国KBSが日本の運動を報道したものの写しがyoutubeの viUZw1ka32s で見られる.ここに出てくる人らは昨日も参加していた.その人らと,あのように日本の現実が韓国に報道されたことはほんとうにいいことだった,今の日本公共放送ではあり得ない放映内容であった,などなど語りあう.
 今の日本の政治状況は,一部のものに私物化され食い尽くされる政治そのものであり,日本の現実はまったく酷いことになっている.社会の現実,世のあり様は東アジアや東南アジアでいちばん酷いものである.

 大阪では,大阪市廃止は否決された.松井市長は,大阪市廃止,つまりは市長もなくなるという提案をした当事者である.そしてそれが市民によって否定された.自らの提案が否決された当事者として,いますぐ辞任しなければならない.
 ところが逆に,維新の会は大阪市の多くの事務権限と財源を府に一元化する条例案を通そうとしている.直接投票で否定された内容をそのまま条例化して,維新と公明で過半数の議会に委ねようとしている.それは大阪市を潰し,大資本に売りわたそうとすることだ.
 沖縄では,辺野古への基地移設問題で,住民投票でも反対が賛成を大きく上回り,知事選や国政選挙で何度も反対の意思を示してきた.だがこの沖縄県民の意思は,国によって無視され続けている.
 大阪も沖縄も,いずれもそこに暮らすものの意思を無視し,大企業の利権を優先する政治である.そして私は,これが日本近代の帰結であり,その成れの果てであることを言ってきた.
 日本はかぎりなく没落する.没落しつくさなければ再生は有り得ない.しかしそれは犠牲が大きすぎる.私はこれらのことを言い続けてきた.いままさにその没落の歴史がすすんでいる.
 それでも没落させようとするものと闘い,その闘いの中から次の時代を準備せよ,いま問われる歴史の課題である.準備するとはどういうことか.それは闘いのなかでしかあり得ない.街頭に立ち,そこで考えたことをもとに,おのれの場で少しでも前に進む.この歳になると,これまでに一体何ができたのだろうかという思いもまた強くなる.

歴史と向きあう

 住民投票によって,大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)の吉村知事,松井市長による大阪市解体は阻止された.これまで,大阪市の解体に反対して闘ってきた多くの人に感謝する.私もまたできるところでそのために行動もしてきたので,ようやくに日本でも人民の意思と力で現実を動かせたことに,よかったという気持ちである.
 資本主義がもはや拡大できないという条件の下,日本の政治経済はそれを越える新しい枠組を何一つ作ることができない.その結果,日本が大きく没落してゆく.このなかで,少ない利益をほんの一部に集中させようとするのが,維新やスガが狙った大阪市の解体である.
 百三十年の歴史をもつ大阪市を解体し,権限も財源も「都(府)」に吸い上げ,「一人の指揮官(知事)」のやりたい放題の体制をつくろうとするの維新の会の野望を市民の良識が打ち砕いた.それは,新自由主義段階の資本の放埒な動きの一つを市民が止めたということだ.
 松井市長は大阪市長でありながら大阪市の解体をすすめ,そして市民に拒否されたのである.であるならば,即刻辞めねばならない.松井は今すぐ辞めろと,吉村知事や松井市長,それとつながるスガ首相らの責任を今後とも厳しく追及してゆかねばならない.
 同時に,なぜ維新のような政治を許してきたのか,これについてもっと深く掘り下げて考えねばならない.

 日本では,歴史と向きあい同じ過ちを繰り返さないという思想や運動,それ以前に一人一人が歴史と向きあうこと,これが非常に弱い.

 最近読んだ『時効なき日本軍「慰安婦」問題を問う 』<2020/7,社会評論社,纐纈厚 (著, 編集), 朴容九 (著, 編集), 申琪榮 (著), 李芝英 (著), 韓惠仁 (著), 李相薰 (著), 李哲源 (著), 楊孟哲 (著),松野明久 (著)>において,纐纈さんがこの問題を掘り下げている.
 この書については,いつも梅田解放区で出会うだいさんが彼のブログ「 加害者の孫を生きる ~日本軍「慰安婦」問題のこと、その他のこと」のなかの読書録「纐纈厚・朴容九(編)『時効なき日本軍「慰安婦」問題を問う』」に詳しく書いてくれている.
 この2015年の赤旗の記事にもあるように、1991年、日本の国会では政府が「慰安婦」制度は軍(国)が関わっていたのではなく,民間業者がやったことだと発言した.それに対して,金学順さんが名乗り出て告発した.
 日本は,国家として内から「慰安婦」問題と向きあったのではなかった.問題の無時効性と,そして戦争責任の問題は一貫して回避され続けた.「慰安婦」問題は,普遍的な問題であり,また無時効性をもつ問題である.帝国の侵略における被侵略地の女性に対する人権侵害であり,それはその当事者が亡くなっても,問題を抉り出し責任を追及することにおいて時効ないということである.その追究と歴史の研究交流には、国境を越えて未来を共有する可能性を提案する役割がある.

 そのうえで,もっとも基本的な固有の問題は,近代の日本は,歴史と向きあい教訓を引き出すことをしない世であったということである.ここに,日本近代という固有性に根ざした問題がある.戦後,この「慰安婦」問題と向きあうことなく,形だけを繕い実際には放置したままの日本国家,そして,それを許している人民の問題である.
 それでも,こうして日本近代の歴史を事実から目を背けることなく向きあわせるいろいろな営みがようやくに出てきている.学ぶべきこと,考えるべきことはほんとうに多い.同時に,資本主義を越える新しい人の繋がりを目的意識をもって生みだしてゆく試みもいろいろと出てきた.

 私はこれまでやってきた日本語の掘り下げの基礎作業を,新しい動きに繋いで次の時代を準備してゆくために,何ができるかを考え,なしうることをしてゆきたい.
 そのために『根のある変革への試論』に手を入れてはじめている.これは東電核惨事をうけて「核炉崩壊以降」として書きはじめたのだが,もっと深くあの日本軍国主義と向きあうところまでいかねばならないと考えるようになった.スガ政権の批判はそれをふまえるものでなければならない.
 大きな方向ははっきりしているのだが,書いてゆくのは難しい.力およばずとなるかも知れないが,これはやらねばならないと考えている.その骨子をかいてゆく.

 日本近代は根なし草であった.
 それは一人一人の個の枠組が根をもたないことでり,
 それは,人と人の間においても,その集積としての世のあり方においても,それを規定する枠組が根をもたないことと,一体である.
 

大阪市解体を許さない!

 昨日は定例の梅田解放区であった.夕方5時半に梅田北にある中津の豊崎西公園に集合し,まずそこで集会をおこなう.季節は秋で,日没も早く,あたりは暗かった.幾人かが喋る.
 大阪市解体反対! スガは辞めろ! アベ逮捕!
 ずいぶん気温が下がっていて,立っていると寒いくらいであった.よく見ると松井市長も雨合羽を着て人形で参加している.

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 それから,デモに出る.いつものように少しデモして歩くと阪急の高架にくる.その横を,東梅田のHEP5前まで歩く.北梅田の界隈はほんとうに人が多い.若い人らで混みあっている.
 11月1日の大阪の住民投票は,「都構想の賛否を問う」といわれているが,これは維新によるごまかしである.都とするかどうかの投票ではない.大阪市を解体するかどうかの投票である.「都になるならいいのでは」と思っている人らに,それが投票の中味ではなく,あくまで大阪市解体の賛否を問うのだということを訴える.
 HEP5前での集会に移る.23日にはここで17歳の人が転落死し,その巻き添えで入院し意識のなかった19歳の学生が24日になくなった.それで集会の最初に黙祷を行う.
 菅政権が国会を開かずに独裁政治を進め,大阪維新に属する吉村知事,松井市長が大阪市を解体しようとしている.資本主義がもはや拡大できず,日本が没落してゆく中で,利益をほんの一部に集中させようとするのが,国と大阪のやっていることである.
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 これに対抗する.そのために街頭に出てそこから呼びかける.皆その気持ちを一つに,歩きそして語る.自由に発言し、訴えてゆく.こうした街頭行動,ここからしか始まらない.
 この日は歌手の川口真由美さんも来てくれた.彼女の歌はいつ聞いても引き込まれる.デモをしながら彼女の歌を聞くのははじめてだったが,よかった.彼女の歌はもうどれくらい聞いたのだろうか.それにしてもこのライブ配信は心動かされる.
 この日は,連帯労組の人が,大きな音の器材をリヤカーに乗せ,一緒に歩いてくれた.大きな音楽のあるデモと集会となった.

 私は、こうして皆がやってるのを,参加することで手伝おうと,もう3年近くここで行われるときに通っている.参加者の中ではいちばん年寄りだと思うが,街頭に立つことはこちらが考える場でもあり,私にとっても意味深い.そして,これがいつか御堂筋を埋めつくすデモの再現にまでつながることを願っている.

 ここまで昨日のことを書いて,犬の散歩で1時間半歩く.写真の満池谷墓地南口から南東の方向へ,前に「安倍=菅やめろ(続)」に書いたところを歩いて,愛宕山の上までいってきた.f:id:nankai:20201025214001j:plain
 それにしても日本の現実は酷い.この没落の意味を日本にいるものとしてとらえねばならない.日本近代は,近代日本と向きあわず,目を背け続けてきた.歴史と向きあわないところは,必ず没落する.日本はいくところまでいかねば,再生することはない.それを確認して,そして徹底して没落したところからの再生について,為しうる準備を重ねてゆきたい.

 地球の有限性によって,拡大しなければ存続しえない資本主義は,終焉する.
 縮小する利潤を,ほんの一部に集中させようとするのが,新自由主義である.
 没落しつつある日本において,それは露骨である.スガ政権の本質である.
 互いを人として尊重しあい,ものを分けあう関係を作れ,これが歴史の求めである.
 生産者と人を直接に結ぶ活動を基礎にその輪は広がっている.
 わが家では,あしの会と西宮の北の方の無農薬野菜農家から食材が毎週届く.
 梅田解放区もまた,そんな人と人の関係を基礎にしている.
 これを土台に,新しい政治を現実にしてゆかねばならない.
 資本主義を越えるというのは,日々の取り組みそのものである.
 そして,歴史が求めることは,実現可能である.

 私は,そのための基礎作業をしてきたつもりであるが,しかし力およばずである.それでも,何をしなければならないのかについて,これからも書き置きたい.

集会:変えよう! 日本と世界

 まず最初に,先日,韓国KBSが日本の運動を報道した.それが youtu.be/viUZw1ka32s  で見られる.コロナ以降仕事が激減したマッサージ師,非正規の看護師,夜の仕事の従事者,路上生活者にも10万円給付金を求めた交渉やセンター団結小屋前の寄り合あいと共同炊事の様子,そして東京から避難してきた原発避難者とていねいな取材である.梅田解放区で出会う人たらが幾人か登場する.
 放映後大きな反響があった.YouTubeでは,ハングルは読めないので意味は分からないが,多くのコメントが寄せられている.
 事実と向きあいそれを伝えている.このような放送が公共放送でなされる韓国は実際のところ日本の先を行っており,日本はそのはるか後方に取り残されている.それが実感できる.これは日本の今の公共放送では考えられない.
 これは単に放送のあり方ということではなく,この放送内容自体が,日本そのものが大きく没落していること、それを事実として伝えている.
 そして,このなかで園さんも言っているが,韓国には日本軍国主義との長い闘いの歴史があり,民主化闘争もまた長い歴史がある.それが今の韓国の土台である.日本にはそのような歴史はない.それが今,闘うかさもなくば国家に殺されるかという時代に入りつつある.日本没落とそこからの闘い,これが現実の歴史になりつつある.

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 さて,18日は時間がとれたので,午後京都へ向かう.少し早めに出て,1時に河原町に着く.四条大橋を渡り,一筋北の祇園白川を通り東山通りに出て,祇園石段下から円山野外音楽堂まで行く.祇園白川に出会ったときのことは「S1会と祇園白川,吉田神社」に書いたが,ほんとうに京都の街は懐かしい.
 そして午後2時からの 第14回 反戦・反貧困・反差別共同行動 京都 変えよう! 日本と世界 に参加してきた.主催は「反戦・反貧困・反差別共同行動京都 実行委員会」であった.
 いつも梅田解放区で出会う人ら4,5人とも出あった.会釈し言葉を交わしながら会場に入る.しばし音楽の後,集会が始まる.

f:id:nankai:20201019073025j:plain 沖縄県選出の参議院議員伊波洋一さんの講演,浪速の唄う巨人・趙博さんの演奏,そして連帯ユニオンの西山さん,社民党服部良一さん,大椿ゆうこさんのアピールと続き,白井聡さんの講演であった.夕方にこちらで用事があったので,白井さんの講演の途中で退席,デモには出ず戻ってきた.
 伊波さんは講演で,今日の日本の主権を放棄しアメリカに隷属した有り様がいかに異常で酷いものであるかを分かりやすく話された.ここまで国家の主権を失ったままの国は他にはない.日本ほど,歴史に向きあわず,自らを省みないところはない.
 集会は,「変えよう! 日本と世界」と銘打っているが,実行委員会の今の世界に対する認識は深くはなかった.伊波さんの提起した日米関係を掘り下げる議論や問題提起もなかった.毎年の行事としてやや停滞しているとも思った.

 京都は久しぶりであった.この円山野外音楽堂での集会は国際反戦の日に近い日曜日に毎年やっている.今年で14回目ということであった.こちらもこの集会は2,3年前に参加したように思ったが,調べると2011年の秋だった.「生きるとは行動すること」に書いている.時間の経つのはほんとうに早い.

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 野外音楽堂から歩いて河原町に戻ったが,途中,円山公園は天気もよく,少しまわってきた.